中国を宇宙から監視、米国の総力戦にアマゾンも参戦

IoT時代、<宇宙開発における官民の関係>が変わる

朝岡 崇史/2019.6.12

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 宇宙ビジネスについては、2018年11月27日、ラスベガスで開催されたAWSのデベロッパー向けの会議『re:invent 2018』において、CEOアンディ・ジェシー(Andy Jessy)が登壇、衛星通信に関する事業の新規参入と、自前のウェブサービスと連携した「AWS Ground Station」構想を発表したことが注目される。

「AWS Ground Station」はコストがかかる衛星とのデータのやり取りを「オンディマンド化」することにより、ユーザ企業が「使いたい時にだけリアルタイムに近い衛星写真を取得できる」というサービスだ。

「AWS Ground Station」のために、AWSは12基の専用基地局をAWSの各リージョン内に設置(日本も含まれる)する予定で、それらの相互連携で衛星写真のデータを高速に、かつ機械学習による処理も行えるように提供する予定という。

 そして、同時に発表されたのは、AWSが軍事産業大手のロッキード・マーティン社と共同開発した低軌道衛星向けのアンテナ・ネットワークシステム「Verge」(Virtual Resilient Ground)である。

 これはいわば、「AWS Ground Station」の宇宙軍版というポジショニングだ。

【参考】 AWS Ground Station Preview Announcement(「Verge」コンセプトビデオは19分45秒から)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1185&v=EOAxdma0lUY

「Verge」では、人が抱えられるくらいの大きさの箱状の小型基地局を世界中に無数かつ機動的に設置し、それらをAWSのネットワーク上で統合運用することで、迅速かつ低コストでの軍事偵察衛星よる衛星写真活用が可能になる。

 中国が開発を進める衛星攻撃ミサイルのように積極的な攻撃性を持つ兵器として運用されるわけではないが、「Verge」はアメリカと中国との長く、冷たい戦争の過程で、中国の動向を虎視眈々と監視する役割を担っていくに違いない。

 われわれ日本人は、『日本国憲法』第9条の制約で、こと軍事となると反射的に目を背けてしまいがちだ。

 しかし、IoTを支える戦略的な基幹技術(AI、センシング、5Gなど)が実は国家の安全保障の命運も握っていること、軍事技術と民生技術の境界線はデータ時代の進展でますます曖昧になってきていることにもっと冷静な視座を持つ必要があるのではないだろうか。