中国を宇宙から監視、米国の総力戦にアマゾンも参戦

IoT時代、<宇宙開発における官民の関係>が変わる

朝岡 崇史/2019.6.12

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 江西省瑞金は毛沢東が共産党における指導権を確立することとなった『長征』の出発地である。

 1934年、蒋介石の国民党軍と戦っていた中国共産党軍10万人は瑞金の地を追われ、壮絶な行軍(撤退戦)を始めた。2年後、1万2500キロを移動して陝西省延安にたどり着いた時、兵力は2万〜3万人まで減っていたと言われる。

 中国では『長征』は決して惨めな敗残戦ではなく、持久戦に耐えて反転攻勢を仕掛け、1949年の建国のきっかけになった「歴史的な大偉業」と位置付けられている。

 つまり、米中貿易戦争は中国共産党にとっても「100年マラソン」を戦い抜くための『新・長征』であり、アメリカとの冷たい持久戦を戦い抜く覚悟を示したということだ。

国家安全保障の主戦場は「宇宙空間」と「サイバー環境」へ

 2049年は、取りも直さず、米中の国家間の覇権争いのゴールでもあり、国家安全保障上の結節点ともなるはずだ。

 戦いは、今後、宇宙空間やサイバー環境を主戦場に繰り広げられるようになる。

中国の街角でよく見かける中国共産党の標語。2018年夏、上海の新天地にて。(筆者撮影)

 まず「サイバー環境」で敵のシステムを攻撃し、敵の情報システムを混乱させる。同時に「宇宙空間」では敵の最新兵器システムを破壊し、敵の兵站システムを無力化し、敵の技術的優位から生じるシナジー効果を否定する戦い方を展開する。

 これがまさにアメリカの国防総省が想定する対中国の安全保障戦略、近未来の持久戦争の本質なのだ。

 片やアメリカがファーウェイをはじめとする中国のハイテク企業に厳しい制裁を課すことで、中国が早晩、経済的にも技術的にも追い詰められ、戦いの趨勢がアメリカの優位で進むと考えるのはあまりにも早計だ。

 中国のハイテク技術の現在地とポテンシャルを甘く見過ぎてはいけない。

 中国が、民主主義国家なら当然クリアしなければならないプライバシーの問題に全く躊躇することなく、国家規模でビッグデータやAI活用を急ピッチで進めている現実、ファーウェイ1社が保有する5Gの標準必須特許数が(それがたとえ仮に技術移転の強要や知的財産の盗用でアメリカから盗られたたものだったとしても)アメリカのクアルコムやインテルを凌駕する現実*3を直視すれば、アメリカの技術的優位は多くの日本人が期待するほど盤石ではない。

【参考】 顔認証システム「天網」に見る中国の深謀遠慮
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53116

*3https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45231420U9A520C1TCR000/