中国を宇宙から監視、米国の総力戦にアマゾンも参戦

IoT時代、<宇宙開発における官民の関係>が変わる

朝岡 崇史/2019.6.12

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中国との冷戦を宣言した、ペンス副大統領の「鉄のカーテン」演説

 しかし、2018年10月4日、潮目は大きく変わった。

 ペンス副大統領がワシントンのハドソン研究所でトランプ政権の対中政策について演説し、中国を「米国に挑戦する国」と決めつけた上、「邪悪な中国共産党」との戦いをアメリカ国民に呼びかけたのである。

 ちなみに『China2049』を書いたピルズベリーは現在、ハドソン研究所の中国戦略研究所長の要職にある。氏のアドバイスがトランプ政権を覚醒させ、ペンス演説の直接的な引き金になったことは想像に難くないだろう。

 このペンス演説の全体は、以下のYouTube動画で視聴することが可能だ。

【参考】 Vice President Mike Pence's China Speech at Hudson Institute
https://www.youtube.com/watch?v=mYAHPPXmcts

 いささか長い演説なので要約すると、ペンス副大統領は中国が困っていた過去の時代にアメリカがいかに中国を助けたかを強調した上で、「我々の中国への行為は共産党政権によって裏切られた」とし、以下のように「中国の罪状」を列挙している。

・ 冷戦終結後、中国が政治面でも民主化すると期待したが、個人財産の尊重、宗教の自由、人権の尊重はまるで是正されなかった。
・ 過去17年で中国の経済規模は9倍に拡大し、世界第2位になったが、それは為替操作、技術移転の強要、知的財産の盗用などによるものだ。
・ アメリカの覇権へ露骨に挑戦している。「中国製造2025」計画のため、官民あげてアメリカの知的財産を侵害し、西太平洋(尖閣諸島、南シナ海)ではアメリカの軍事的優位を脅かしている。
・ 中国国内ではインターネットのアクセスを制限したり宗教弾圧を行ったりして人権侵害が甚だしい。
・ アジア、アフリカ、欧州、中南米で不透明な融資条件の債務外交を展開し世界への影響力を拡大している。
・ アメリカに不法に介入している。中国共産党の影響は、アメリカの産業界、映画界、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方・連邦政府に及んでいる。

 アメリカ国内のメディアの論調には、この演説を1946年3月に、イギリスの首相だったウィンストン・チャーチルが「ヨーロッパでは鉄のカーテンが降ろされた」と東西両陣営の冷たい対立が始まった歴史的転換を指摘した『鉄のカーテン演説』(ミズーリ州ウェストミンスター大学)になぞらえるものもある。

 何れにしてもその後、トランプ大統領が相次いで打ち出した対中関税や中国ハイテク企業(ZTE、ファーウェイ)への執拗な制裁が、巷で報道されるようにホワイトハウス内で拙速に判断されたのではなく、5年前に出版されたピルズベリーの『China 2049』を伏線として、政党の枠組みを超えてアメリカの国家の統一意思として時間をかけ合意形成された「覚悟の戦略」と理解を深めることが必要だ。

 一方、対する中国の動きはどうだろう。

 2019年5月20日、習近平国家主席は訪問先の江西省瑞金で「今こそ新たな『長征』に出なければならない」と中国国民に呼びかけた、とされている*2

*2https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/053100056/