中国を宇宙から監視、米国の総力戦にアマゾンも参戦

IoT時代、<宇宙開発における官民の関係>が変わる

朝岡 崇史/2019.6.12

いいね ツイートする

 今後、宇宙やサイバーでの戦いにつながる基幹技術を保有・開発する中国企業、具体的にはドローンのDJIやAIカメラのハイクビジョンへの厳しい制裁がトランプ政権からカードとして切り出されることが予測されるが、それが中国のハイテク技術の進歩のスピードをはっきり鈍化させることができるかという点では疑問符がつく。

 何れにしても中国の「100年マラソン」のゴール地点で、アメリカ・中国どちらが宇宙空間やサイバー環境で優位に立っているか、という見極めが難しい状況がしばらく続くだろうというのが著者の見立てである。

アメリカの宇宙戦略は民間セクターからの調達が大きな役割を果たす

 宇宙に関しては、アメリカでは2010年にオバマ大統領が出した「新国家宇宙政策」以降、民間企業の技術やサービスの購入、インフラの商業利用、輸出の促進などが明確に打ち出されるようになった。

 つまり、端的に言えば、スペースシャトルの後継機の開発は民間セクターに任せ、NASAは大口の顧客として民間から打ち上げサービスを購入するという政策上の大転換があったのである。

 トランプ大統領は2019年2月19日、国防総省に宇宙空間の軍事活動に専従する宇宙軍の創設に向けて法案を作成するよう指示したが*4、民間セクターからのリソース調達の方針は政権が変わっても踏襲されている。

 結果としてこの動きは宇宙におけるアメリカの国家安全保障上の弱点、すなわち予算不足に起因する中国に対する技術開発の遅れ、の補完という点では大きな成果が期待されるだろう。

【参考】 トランプ大統領、宇宙を国家安全保障上の要衝と宣言「Meeting of the National Space Council」の映像
https://www.youtube.com/watch?v=qqH0xUBHISg

*4https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41493750Q9A220C1000000/

軍事産業大手ロッキード・マーティンと共同開発に踏み込むアマゾン

 この流れに呼応するように活発な動きを見せている民間セクターの企業の代表プレイヤーが、アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)だ。

 アマゾンは傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(以下、AWS)を中心に、数年前から公共セクターを対象にしたビジネスに取り組み始めている。

 昨年には国防総省から100億ドル規模のクラウドサービス契約を獲得しかけたが、同社が入札プロセスを乗っ取ったという苦情が競合他社から寄せられたこともあり、契約は一旦、凍結された。

 現在はマイクロソフトとの一騎打ちで受注競争が繰り広げられている*5

*5https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45349680Y9A520C1000000/