高リスクのポートフォリオで資産全体の参考値に

 パフォーマンスの不透明感が高まるなかで、ファンドラップはどう活用すればよいでしょうか。たとえば、ファンドラップを資産全体の配分を考える参考値にする方法があります。投資資産の一部をファンドラップに回して、その資産配分やリバランス内容、大きな出来事が起きた場合の対応などを参考にして、他の資産の保全や拡大をめざすのです。

 たとえば、3000万円の投資資産の10%、300万円をファンドラップに投資します。投資にあたってのコンサルティングや実際の資産配分を参考に、残り2700万円を投資します。300万円にかかる運用コストを、専門家による“勉強代”と考えるわけです。

 この300万円分のファンドラップでは、最もリスクを取るポートフォリオを選択すると残りの2700万円の資産配分がわかりやすくなると思われます。これ以上は危険だというボーダーラインがはっきりするからです。リスクを中程度に取ったり低めに取ったりすると、残り資産のリスクの取り方が難しくなりそうです。

 株式投資の世界には「タイ焼きのしっぽはマーケットにくれてやれ」という格言があります。深追いするな、欲をかくな、という意味ですが、運用コストについても同じように言えるかもしれません。つまり「損して得取れ」。ファンドラップで勉強代を払っても、資産全体の成長に役立つヒントや投資法が見つかって実績を上げることができれば、コストを支払った価値があるのではないでしょうか。

 その勉強代として、いくらまでなら納得できるのか。それは投資家それぞれの資産規模とリスク志向、ゴール(何歳までにいくらつくるか)によるでしょう。ファンドラップの勉強代は比較的高くなるかもしれませんが、投資リターンも期待できます。運用コストが高いから投資しない――という見方はシンプルでわかりやすいですが、ファンドラップの仕組みを考えるともったいない気もします。