現段階においては、Google、IBM、Intel、Rigetti Computingの4社が、集積度と量子力学的コヒーレンス性能のさらなる向上を目指してしのぎを削っている。その後を中国科学技術大学、Alibaba、Microsoftが猛追している。

 いまのところ超伝導量子コンピュータが、商用量子コンピュータの本命とされているが、その対抗馬としてシリコン(Intel、Silicon Quantum Computing、日立製作所)、イオントラップ(IonQ、Alpine Quantum Technology、Honeywell)、マヨラナ粒子(Microsoft、NOKIA)、光(Xanadu)を利用した量子コンピュータの開発も多くの企業で着々と進められている。そのため、今後どのような展開を見せるかまったく予断を許さない状況である。

量子コンピュータと量子アニーリングマシンの関係

「そういえば、もっと量子ビット数の多い量子力学原理を用いたコンピュータがすでに販売されていなかったっけ?」と思われた方もいるだろう。それは「量子アニーリングマシン」だ。

 量子アニーリングマシンは、量子コンピュータとは異なる原理で動作する。量子アニーリングとは、巡回セールスマン問題などの組合せ最適化問題を解くための計算手法であり、量子アニーリングマシンは、その計算手法をハードウェア化した「組合せ最適化問題専用」コンピュータのことである。ただし、組合せ最適化問題に対して量子アニーリングマシンが古典コンピュータより高速に処理できることは、いくつかの状況証拠はあるもののいまだに理論的には証明されていない。そのため、現在さまざまな最適化問題に対するベンチマーキングが行われている。

D-Wave Systemsの量子アニーリングマシンD-Wave 2000Q

 超伝導量子アニーリングマシンは2011年にD-Wave Systemsが128量子ビットの製品を商用化した。その後順調に集積度を上げ、現在は2048量子ビットまで向上している。また、海外(Google、Northrop Grumman、Qilimanjaro、MIT)および日本(産総研、理研、MDR、NEC)で超伝導量子アニーリングマシンハードウェアの開発が進められている。最近われわれ産総研は、日本初の超伝導量子アニーリングマシン(50量子ビット級)の製造に成功した。

 加えて、DENSO、リクルートコミュニケーションズ、Volkswagenなどの多くの企業が量子アニーリングマシンをビジネス活用するためのアプリケーション開発を進めている。