従来型コンピュータを圧倒的に上回る性能を発揮する可能性を持った「量子コンピュータ」。この1、2年で研究および技術開発が急速に進展したことにより、もはや「遠い将来の夢」ではなく、ビジネス世界での応用が現実のものとなり始めている。

 それを実感できるイベント「量子コンピューティングビジネスフォーラム2018」(主催:ウィル・カンファレンス、後援:一般社団法人CDO Club Japan)が、2018年7月30日に東京丸の内で開催された。ハードウェアとソフトウェアの研究者や開発者、すでに応用に乗り出した企業担当者など、量子コンピューティングの最前線で活躍する国内のキープレーヤーが揃った。

 参加者の多くは量子コンピューティングのビジネス応用に関心を持つ企業担当者。ビジネスに量子コンピューティングを利用しようという動きはすでに始まっている。本記事ではこのフォーラムでの講演およびパネルディスカッションの概要を紹介する。

 現状では、量子ゲート方式と量子アニーリング方式という2つの研究開発が行われているが、以下では基本的に両者を明確に区別せずに「量子コンピュータ」と称する。