大企業とスタートアップの双方に求められる課題解決とは?
特別セッションに森岡氏と共に登壇したのは内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 企画官の石井芳明氏。直近まで、経産省で政府によるスタートアップ支援、産学連携、イノベーション促進を推進してきた中心人物の1人だ。
石井:現在、私が特に注力をしている取り組みは2つあります。1つは経産省が進めている「J-Startup」という支援策。日本のスタートアップは盛り上がってきましたが、世界の水準に追い付くには、もう一息というところ。そこで、各省庁がそれぞれに展開してきたスタートアップ支援策を連携させると同時に、KDDIさんをはじめスタートアップとの連携に積極的な大企業とも力を出し合いながら、官民一体の支援で「世界に勝てるスタートアップ企業」を生み出し、育てていこうとしているのです。
内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 企画官 石井芳明氏
もう1つは、オープンイノベーション促進のための手引き書を作成し、これを多くの企業に発信して、有効活用してもらう取り組みです。『オープンイノベーション白書 第二版』(参照記事「オープンイノベーションの成功を阻む3つの阻害要因~経産省「白書」が語るオープンイノベーションの課題と成功要因」)です。ご存じのように大企業とスタートアップ企業とが連携するオープンイノベーションの事例は確実に増えてきましたが、いわゆる「イノベーションのジレンマ」というものに遭遇し、苦労をされているケースは少なくありません。大企業とスタートアップ企業との間にはどんな違いがあって、そのギャップを埋めるためにはどうすればよいのか、というテーマについて、参考にしていただける内容を用意し、日本の活力向上に役立ててもらおうというわけです。