社名で勝負しているうちはベンチャーと対等に話せない
株式会社NTTドコモ 39works アクセラレーターの金川暢宏氏は、CVCでの投資検討・実行や、社内の新規事業を立ち上げた経験を持つ。39worksの立ち上げ当時の2014年、「ドコモはイノベーションのジレンマに陥りかけていました」と振り返る。コミュニケーション文化を創造することが自社の理念だったが、世の中はスタートアップのコミュニケーションツールに取って代わっていた。
自分たちで作り上げたアイデアをベンダーに作ってもらい、ビジネスを開発する内製主義かつ完璧なものを出すことにこだわりすぎていた。クラウド技術やアジャイル開発が発展するなか、最初はシンプルなものから始め、お客様の意見を取り入れながら大きくすることが大事ではないか——そうして立ち上がったのが39worksだ。
新規事業の前の段階を検証するという姿勢のもと、ドコモの社員と社外のフリーランサーや起業家がメンバーとなり、企画から開発、運用、保守までプロジェクトを組み進めていく。その先は状況次第。ジョイントベンチャーを設立したり、ドコモの新規事業としてスケールを効かせたり、M&Aしたりなど考えていくとのこと。
基本的には失敗もアセットというマインドで取り組んでいる。「社内はオープンイノベーションに興味を持つ人が多くありません。個人でビジネスを立ち上げることにより責任感が増し、個人名で仕事をしてもらえるように」という狙いがある。社名で勝負しているうちはバリューを出せず、ベンチャーと対等に話せないという危機感があるからだ。
「社内変革が大事。EU発『Open Innovation 2.0』は市民やユーザーが主導となり、様々なプレイヤーが一つのゴールに集まっています。こうすることで大手企業もスタートアップもそれぞれの強みを活かすことができる。まさに協業する時代に突入しています」