年間ベンチャー投資数20社に裏付けされた組織体制と想い
凸版印刷株式会社からは、経営企画本部・フロンティアビジネスセンター・戦略投資推進室長の朝田大氏が登壇。2020年に設立120周年を迎える同社は受託型で事業拡大と多角化を進めてきたが、大きな転換を迎えているという。
「顧客企業のデジタルシフトの中でもとくに『ライフスタイルの変化』や『テクノロジーの変化』が様々な形で当社事業へ大きなインパクトを与えると想定されます。その時々の変化や事象に追随することも重要ですが、それ以上に将来の新たな事業領域の策定が急務でした」
そこで、2015年から2年ほどかけ、グループドメインのプロジェクトを実施。若手中心にグループ企業からメンバーを選定し、2025年〜2030年トッパングループとして成長市場へ向けた新たな事業領域を策定する見込みだ。これらを実現するためのひとつとしてオープンイノベーションにも着手。
組織体制も見直し。朝田氏の在籍部署はベンチャー投資によるオープンイノベーション推進を掲げ、年間投資予算及び1件あたりの投資金額を定めて活動を推進。加えて、従来の経営判断(経営会議、取締役会議)とは独立した少額出資検討会という仕組みをつくり、アーリー、ミドルステージのスタートアップを中心にマイノリティ出資の投資判断を実施。
投資先選定にあたり、2つ工夫していることがあるという朝田氏。ひとつは、社内で協業仮説を投資担当者と事業推進部門が協力し設計した内容の評価に力点を置くこと。もうひとつは、投資先候補の代表者が少額出資検討会内でプレゼンする機会を設けること。経営者の人物像含めて審査側の理解度を上げるのが狙いだ。
ベンチャー投資はオープンイノベーションによる事業開発のための手段のひとつで、時間短縮や件数がKPIではないとしつつ、それまで3、4ヶ月要していた決議が最短1ヶ月程度まで短縮。1年半で約20社へのベンチャー投資を実現。「まだまだ課題が多い」としつつ、対象企業の価値を高めるべくあらゆる経営支援活動を推し進めている段階だ。