Lev-Ami氏は取り組みを振り返りながら、「仕組みが常に利用者にとって使いやすいかどうかを考えることが大事だ」と語る。「新しい機能がいくら素晴らしい目的を実現できるとしても、クリックが15回増えるとなると現場では使われない」(同氏)。
加えて「(データの品質が維持できなければ)マジック的なソリューションからは遠い」とし、収集したヘルスデータの品質維持の重要性を強調する。
イスラエルでは20年ほど前からデータ収集に取り組んでいる。疾病の問題を追及する際に、過去のヘルスデータを分析することがよくあるという。この時に医師や研究者が過去のデータから有効な知見が得られるかどうかは、データのレポジトリ(データの仕様を記述したもの)の品質が大きく左右するという。また「データのクレンジング(品質アップのための整理)が重要で、リサーチプロジェクトごとに実行することが大切だ」(Lev-Ami氏)と語る。
デジタルヘルスケアには「変化に保守的な医療現場の改革が重要だ」(Lev-Ami氏)と強調する。これについてはパイロットプロジェクトを企画し、それに助成金を出して現場が変化に対して前向きになるようモチベーション向上を促すというアプローチを紹介した。
病院内にオープンイノベーションの拠点を設置
CDI(Center for Digital Innovation)の共同創設者兼CFO(最高財務責任者)であるBoaz Gur-Lavie氏は、CDIで進めている高齢者の課題解決の取り組みを紹介した。CDIは健康、福祉、研究、スマートシティなどのテーマに取り組む非営利組織で、イスラエルの起業家とネゲヴ・ベン=グリオン大学によって創設された。
CDI(Center for Digital Innovation)の共同創設者兼CFO(最高財務責任者)であるBoaz Gur-Lavie氏