早期退職を実行した人に共通した条件とは
「自分はいつまで働くのか」について、お金の損得のみに着目すれば、「定年もしくは定年延長するまで働き」「定年退職後も何らかの仕事を続ける」ことが合理的な行動といえそうです。それらを基本に「老後の生活資金のための準備=預貯金」と「早めの資産運用」を積極的に実行する。予想通りの結論ですね。
それでも早期退職した人たちには、事例が少ないのではっきりしたことは言えませんが、共通の条件があるように思えます。冒頭で述べた同世代の友人たちの場合は(1)親は健在だが健康に不安があるので地元へUターン、(2)家業や不動産賃貸など、現役時代より少ないが地元で収入を得る用意がすでにある、(3)現在の勤務先が退職給付や企業年金に手厚い上場企業もしくはそれに準じる企業、(4)子どもがいない――などが共通していました。
挙げてみると、確かにこれなら早期退職を積極的に考えられるかもしれません。
お金があってもなくても楽しく暮らすと決める
早期退職を決断するには、お金の損得を超えた「避けられない理由」や「割り切り」が必要なのかもしれません。今後のキャッシュフローをできる限り正確かつ保守的に洗い出し、家計のスリム化を実行、資産運用も早めから着実に進める。それでも残る不安に対しては、「自分1人(夫婦2人)で何でもやって食べていく」と割り切ることが大事になるのでしょう。
人間の行動はえてして非論理的です。確率で生きているわけではありません。お金がないと苦労する可能性が高まりますが、ありすぎても不幸に巻き込まれることがあります。お金があってもなくても、定年まで働いても早期退職しても、楽しく生き生きと暮らすと決める。これが、人生100年時代を生き抜くコツなのかもしれません。
できるだけ長く働き続けるためには、退職後の起業や現役時代からの副業、フリーランスで収入を得ることも選択肢のひとつです。そのあたりのことについては、別の機会に改めて取り上げたいと思います。