2015年11月、中国政府は上海市郊外の嘉定区安亭鎮を「スマート・コネクテッドカー・モデルエリア」に指定、インフラ協調型の自動運転の実証実験を行うことを発表した。

【参照記事】中国初の自動運転試験エリア、上海に設立
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2015-11/10/content_37027900.htm

 都市の道路を網羅する「天網」の監視カメラは、セキュリティや犯罪捜査の目的で運転者を顔認証する以外にも活用の用途は大いにあると考えられる。

 例えば、道路の渋滞状況のリアルタイムな把握や、死角から突然飛び出してくるクルマや歩行者に対する事前の警告にも寄与しうると言えないだろうか。

 つまり、自動運転を全体最適の視点で円滑にオペレーションするために、「天網」が、個々の自動運転車の「近未来の予測と改善提案」を瞬時に行う「賢く鋭い目」に成り代わるのである。

 さらに、「天網」を含む都市のモビリティクラウドが実用段階に達した時点のことを想像してみよう。

 中国版「モビリティクラウド」を中国全土に水平展開するだけではなく、技術水準は低いが自動運転のニーズがある中東や東南アジアの国へ、インフラごと輸出をしてしまうという壮大なビジネスプランすら視野に入れている可能性がある。

 破壊的なイノベーションを着実に導入していくためには、「リーンスタートアップ」という考え方が必要であることはこれまでの連載で再三述べてきた。

 中国における「天網」による顔認証システムから、自動運転のためのモビリティクラウド構築に至る過去・現在・未来の履歴を今一度、俯瞰的に見てみよう。

 読後感として残るのは、学習を繰り返しながらPDCAサイクルを回す、そのエネルギーの強さとスピードの速さに他ならないのではないか。