社会問題の解決が生む価値で顧客企業の持続的成長に寄り添う

 日立グループの「社会イノベーション事業」とは、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなど、高度なITを社会インフラと組み合わせることで、社会問題の解決を目指すものだ。その対象は、日本を筆頭とする先進国での少子高齢化、新興国・途上国での急速な都市化・人口爆発、世界的なエネルギーや水資源の問題など、国内外を問わず多岐にわたっており、複雑さも増している。官庁や自治体を含め、公益性の高い領域を担当する公共本部のマネージングディレクター、苅山真樹氏は「日立の社会イノベーション事業をけん引する当社のコンサルティング・サービスは、実は、新規事業創出、事業の成長というお客様のニーズを満たすサービスとつながっているのです」と語る。

マネージングディレクター 苅山 真樹

社会問題は、ボランティア活動や非営利活動だけでは解決できない。社会にとって重要な課題に取り組むことで生まれる新たな価値をビジネスにつなげることで、持続性を伴った解決策となる。苅山氏は「お客様は、社会問題を解決することにより、新規市場や新規事業を生み出すことができます。当社は、お客様が取り組む課題に日立の技術を適用することで、これまでできなかったことを可能にするお手伝いをします」と述べ、幅広い技術の引き出しと、研究者・技術者らの豊富な人的リソースを抱える、巨大グループの一員である強みを強調する。

ただ、社会問題の解決を図る事業の場合、事業の規模・範囲が広くなり、顧客企業と同社の間だけでは完結しないケースも出てくる。そこで同社は、官公庁などに向けて実現可能な政策を提言するほか、複数の顧客企業や大学、自治体や関係機関など幅広いステークホルダーを巻き込んで、プロジェクトを推進することも少なくない。

来年1月から始まるマイナンバー制度はその好例だ。政府が主導しているが、社会インフラとして広く利用される仕組みにするには、自治体、医療保険者や年金機構、民間企業まで幅広いステークホルダーを取り込んだ仕組みをつくり、社会問題の解決に活用する必要がある。

マイナンバー制度にも関わるディレクターの美馬正司氏は「政府側が整備するマイナンバーの基幹インフラ・システム整備のコンサルティングから、自治体や各種団体、企業などマイナンバーを利用する側のコンサルティングまで、多様なステークホルダーをコーディネートして、大きな仕組みを動かすお手伝いをしています」と話す。