米国のインターネット広告業界団体インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)と米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が23日に公表した市場調査によると、今年7~9月期の米国におけるインターネット広告の売上高は、1年前から15%増の106億9000万ドルとなり、四半期売上高の過去最高を更新した。
昨年来記録ずくめの米ネット広告市場
同国のネット広告の四半期売上高は、昨年7~9月期に過去最高の92億6000万ドルとなり、その次の10~12月期で103億1000万ドルと、初めて100億ドルを突破し、再び記録を更新した。
その後、今年に入り、98億1000万ドル、102億6000万ドルと推移している。こちらもそれぞれ1~3月期、4~6月期として過去最高を更新した。
IABとPwCがこれまでにまとめていた、今年上半期(1~6月)のネット広告売上高は、1年前から18%増の201億ドル。
つまり、今年の10~12月期の実績が昨年と同等、あるいは昨年実績を上回れば、2013年の年間売上高は400億ドルの大台に乗る。別の調査会社である米イーマーケターもこれに先立ち、今年の米ネット広告費が425億8000万ドルになるとの推計を公表していた。
これにより米国のネット広告は初めてテレビ放送広告を上回る可能性が出てきた。IABとPwCのリポート(PDF)によると、10年前にはまだ73億ドルという規模だったネット広告はその後順調に伸び続け、2007年にはラジオを、2010年は新聞を、そして2011年はケーブルテレビを追い抜いた。
昨年(2012年)の米広告市場の売上高を見ると、テレビ放送が396億ドルで最大。だがネット広告は366億ドルで、30億ドルの差でテレビに迫っている。
最も伸び率が高いネット広告、首位はグーグル
そのほかの広告売上高は、ケーブルテレビが325億ドル、新聞が194億ドル、ラジオが161億ドルだった。これらのうち、前年比伸び率が最も高かったのはネット広告で、15.5%増。これに対しテレビ放送は同2.9%増と微増。ケーブルテレビやラジオもそれぞれ同8.3%増、同5.9%増と比較的小幅な伸びにとどまっている。
一方、新聞広告は落ち込みが激しい。2005年には第1位の媒体だった新聞はその後一貫して右肩下がりの状況。2010年にネットに抜かれた後も低下が続いており、2012年は前年比6.3%減となった。新聞は緩やかな回復傾向にあるラジオに間もなく抜かれそうだ。
なお前述のイーマーケターの推計によると、2013年の米ネット広告市場は、米グーグルが売上高シェア39.9%を獲得し、トップを維持する見通し。これに次ぐのが米フェイスブックで、同社のシェアは7.4%。この後、米マイクロソフト(シェア5.9%)、米ヤフー(同5.8%)、米IAC/インタラクティブ(同2.5%)が続くと予測している。