この不景気なご時勢に、米国で驚異的な売り上げを記録している産業がある。注文が殺到し、作っても作っても追いつかない、会社の株は4倍に跳ね上がり、世界中が景気低迷で喘いでいる中、我が世の春を謳歌する業界。
銃の製造業である。
理由は単純だ。オバマ大統領は選挙運動中から、銃規制に前向きな発言を繰り返してきた。そのため、彼の勝利が決まると、銃を買うことができなくなるかもしれないという噂と危機感が多くの米国人を駆り立て、銃と銃弾を買いに走らせた。
米国では、陰で「恐怖バブル」「恐怖刺激策」などと揶揄されている。背景に、全米ライフル協会(NRA)が多額の資金を投入してPR作戦を展開していることも大きい。
あらゆるメディアを使い「オバマ大統領は、米国人から自由を奪い、銃を持つことを禁止する史上もっとも銃を嫌う大統領」「今買わなければ二度と買えなくなる」などと煽動している。
(彼らが資金提供するサイト「GunBaNObama(銃禁止オバマ )」などでその様子を見ることができる)
4月末に銃の大手メーカーが、第1四半期の決算を発表した。スターム・ルガー社は前年同時期に比べ、純利益がおよそ4倍、株価は今年に入って82%上昇している。スミス&ウェッソン社の株価もおよそ3倍に跳ね上がっている。
皮肉にも、この発表があったのは、銃乱射事件が立て続けに起こり、1カ月あまりの期間に57人もの犠牲者を出した直後だった。
空になった銃専門店の棚
米国の各地域で定期的に「ガンショー(Gun Show)」という、小型のピストルから殺傷力が高い攻撃用武器まで、あらゆる銃や付属アクセサリー、銃弾などを買うことができる総合市が開催される。年におよそ5000のガンショーが全米で開催されると推定されている。
開催場所は、ホテルやショッピングモール、野球場などで、週末の2日間限定で催されるのが常だ。規模が小さいショーは、銃を売るブースが50前後で、大きなショーになると、2000以上のブースが軒を争う。
昨年11月以来、どこのガンショーも開場時間前から長蛇の列で人が並び、品物が飛ぶように売れている。特に売れているのは銃弾だ。
オバマ大統領が近日中に、銃弾の税率を上げるという噂が流れているからだ。
ガンショーから、購入した銃弾の箱が溢れ出そうな袋を、抱えられるだけ抱えて出てくる人が後を絶たない。
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