4月に入ってすぐ、ロサンジェルス市とサンフランシスコ市がそれぞれの最新犯罪率を相次いで発表した。両方の都市ともに、不況は犯罪率の増加を招くという既成概念を裏切り、大幅な低下を達成している。
ロサンジェルスは、殺人事件の数が前年同時期に比べて30.7%下がっている。レイプや加重暴行はおよそ10%前後の減少。空き巣、泥棒、車上荒らしなどの犯罪も軒並み件数が減っている。
サンフランシスコの方は、殺人事件が61%も減少した。レイプや加重暴行などの犯罪も20%近く減っている。
いずれもこれまで米国の中で犯罪率が特に高いとされてきた都市である。しかし発表の翌日、ニューヨーク州の小さな町で銃乱射事件が起こり、18人の死傷者が出た。ニュースはこの話題でもちきりになり、両市の犯罪率減少が話題になることはなかった。
それどころか、銃乱射事件の容疑者が最近会社をクビになったことが分かると、ニュースキャスターが「不況が遠因」というようなコメントをした。米国が深刻な不況に突入してからというもの、事件が起こるたびに不景気な経済と結びつけようとする傾向がある。
米国では景気悪化と犯罪率増加の相関関係がない
景気の悪化と犯罪率増加には相関関係があるのだろうか。実は、米国の専門家の多くは「歴史的に見ても米国では相関関係が見られない」と述べている。
例えば1930年代の大恐慌時に、犯罪件数は下がり続けた。殺人事件の件数も激減している。
米国の歴史の中で、犯罪が激増した時期が2度あった。最初は、60年代の終わりから70年代初めまでで、犯罪率がそれ以前に比べ3倍に跳ね上がった。
2回目は、80年代終わりから90年代初めまでにかけてである。いずれも好景気の時期に上がっている。
原因としては、1回目が麻薬ヘロインの蔓延、2回目が安価なコカイン(クラック)の蔓延のためだと言われている。だが、はっきりした因果関係が証明されているわけではない。専門家は、犯罪が増加する要素は複雑で、1つの要因と結びつけて説明することはできないと言う。
いずれにせよ、「経済が悪化すると失業者が増加し、金に困った人たちが犯罪に走る」というシンプルな筋書きは、米国においては成立しないということだ。
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