ウサマ・ビンラディンの殺害からおよそ1週間。これまで米国内で、ビンラディン殺害に関する批判はまったく聞こえてこない。
周囲のかなりリベラルで国際派の米国人らに「国際法を違反した可能性があると言う人がいるが・・・」と質問してみたが、鼻で笑われてしまった。ある人は「そんなことを言っているのは、今回の作戦で蚊帳の外におかれたヨーロッパ人だろう」と言い、周りは大きく頷いたり、にやりと笑ったりしていた。
誰もが「正義が成された」と言い、お祭り気分はまだ続いている。
連日、朝から晩まで続くビンラディン関連のニュースを聞きながら、釈然としない気持ちと、周囲との違和感を感じていた中で、ある話題が目に留まった。
学校内で逮捕される子供たちが増えている
今年の3月、カリフォルニア州に住む11歳の少年が逮捕された。
ブレントン・ペライタ君は、事件が起こるまでの数カ月間、いじめに遭っていた。クラスメートにひどい言葉でののしられたり、暴力を受けたりしていた。
そこでブレントン君は、これ以上やられっぱなしではいけないと、ある日言い返すことにした。「お前たちを撃ち殺してやる」。
生徒たちからこの話を聞いた先生は校長に連絡し、校長は警察に連絡し、間もなくブレントン君は「恐喝罪」で逮捕される。手錠をかけられ、顔写真を撮られ、指紋を取られた。
学校と警察の言い分は、キャンパスでの銃を使った犯罪の示唆は重く受け止めなければならず、厳しく対応すべしということだ。
ブレントン君と彼の両親は、それまでいじめについて何度も学校に相談に行っていた。これまで暴力を受け、メガネを壊されたこともあったが、それについては学校も警察も何もしない。しかし少年が勇気を振り絞って言い返した言葉が、たまたま銃を示唆したため、有無を言わさず逮捕とは、教育現場はどうなっているのだと、父親は語った。
警察は、その後の捜査でブレントン君の家には銃が発見されなかったと発表した。