ワクチン接種が急速に進む米国だが、白人と黒人では接種率に大きな開きがある

 米社会にいまもって人種格差があることは、多くの人が知るところである。

 新型コロナウイルスによる死亡率でも、白人と黒人では開きがあり、白人よりも黒人の方が高いことが分かっている。

 米民間調査機関APMリサーチラボが昨春公表したニューヨーク市の数字でも、黒人の方が白人より2.4倍も死亡率が高かった。

 黒人の方が医療保険に加入している割合が低いだけでなく、糖尿病や心臓疾患などの持病を抱える比率が高いことなども影響している。

 いま新たに、ワクチン接種率でも黒人より白人の方がかなり高いことが分かってきた。

 ワクチン接種では、公共機関が人種格差や貧富差などに関係なく、機会均等を前提に実施すべきであるが、そうではなかった。

 地域によって差はあるが、フロリダ州マイアミ・ヘラルド紙の調査チームがまとめた結果によると、白人と黒人のワクチン接種率には大きな開きがあった。

 同州南部マイアミ・デイド郡(人口約270万人)の住民を対象にした調査で、同紙は次のように書く。

「キー・ビスケーンやフィッシャー・アイランドの住民の多くは富裕層の白人で、ほとんどの成人はすでに最低1回のワクチン接種を済ませている」

「一方で、同郡の黒人コミュニティーに住む住民への接種率は31%でしかない」