地方議員の立候補や議員活動の際に、自宅住所が公開されたり、旧姓の使用が認められなかったりすることが多い。これは女性議員の大きなハードルとなっていて、ただでさえ少ない女性議員の立候補の芽を摘んでいるとも言える。東京都台東区議会の本目さよ議員は、多様な価値観を持つ議員を増やすためにも、各自治体は従来の慣習を見直してほしい、と提言する。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「政治家は自宅住所を公開すべきか?(上)~(下)」を再構成したものです

(本目さよ:東京都台東区議会議員、WOMAN SHIFT代表)

 まだまだ男性社会が前提となっている地方議会で、私が女性議員として数多くの苦労をした経験から、2期目の2015年、政策実現ができる女性議員を増やすことをミッションとする若手女性議員のネットワーク「WOMAN SHIFT」を結成しました。女性議員ならではの活動などをテーマに勉強会や交流会を開催したり、議員を志す女性をサポートしたりと、取り組みは5年目に入っています。

女性が立候補するときのハードルがある

 昨年の統一地方選挙の前後から、WOMAN SHIFTにはいくつか共通した相談が入ってきました。それは「旧姓で立候補できない」「住所が公開されてしまう」というものです。4人の方の相談内容を事例としてご紹介します。

事例1(関西の市議Aさん)
【住所公開】2期目に通称として旧姓を使用した際、立候補者一覧で戸籍名と住民票住所を公表されました。必要な措置かもしれませんが、旧姓使用を良く思わない方から、戸籍名で議会事務局宛てに手紙を頂いたり、SNS(インターネット交流サイト)で居住地と地盤が異なることを悪意的に書かれたりするなどの嫌がらせを受けました。

【旧姓使用】選挙の時、1期目は独身で戸籍名、2期目は既婚で旧姓を使用しました。現職であり選挙管理委員会職員と顔見知りだったため、旧姓使用はスムーズにできましたが、規定がないがゆえの曖昧さを感じました。一方、1期目に結婚した際、議会で旧姓を継続して使用しようとしたときには、職員にも旧姓使用をしている者がいないということで難航を極めました。

事例2(都内の市議Bさん)
【住所公開】私が立候補したとき、家族の一番の不安が住所公開でした。正直、立候補を諦めようかとも思いました。夫と話し合った結果、警備会社を使用し、家の四方全て死角がないように防犯カメラを設置しました。全てのカメラで1週間分の録画が残るようになっています。カメラの導入費用などで80万円ほど掛かりました。政治活動で、ただでさえお金が掛かっていたので痛手でしたが、それでも家族と自分を守るためにはその方法しか思い付きませんでした。

 選挙後は自宅住所は公開していませんでしたが、選挙時に公開していた影響で、その後しばらくは市民の方が突然自宅に来ることがありました。どの方も市民相談ではなく、「実物を見たかった」というような理由でした。来た方に悪気はないのだと思いますが、やはり少し恐怖を感じました。あの時、80万円出せるほど経済的な余裕がなかったら立候補していなかったと思います。