緊急寄稿 黒岩 祐治(神奈川県知事)

湘南国際村センターの稼働にあたり志願してくれた県庁の職員とナースに激励。彼らの公務員魂に感動し思わず涙声になる

ダイヤモンド・プリンセス号の舞台裏

 いま、コロナ・ウイルス感染は日本でも、世界全体においても、その勢いは止まらず、日々刻々と拡大し続けています。

 豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号の寄港により、横浜は日本におけるコロナウイルスの最初の舞台となりました。

 この時、クルーズの最初に対応に当たったのが神奈川県の職員でした。そして、その後、しばらくの間、客船からの感染症の陽性患者のすべてを神奈川県と横浜市が協力しながら対応することになるのですが・・・。

 3700人が乗船するクルーズ船は一つの町のようなものです。未曽有の事態のことですから現場は混乱状態、指示系統すら確立していません。

 私は、本来、国が真っ先に駆けつけ、率先して仕切るべきではないかと、内心思いましたが、事態は刻一刻と動き、そんなことを言っている余裕もありません。

 クルーズ船は県土で発生した事案ではありませんでしたが、患者が外国人であっても、県が対応しなければならない。これは港町の宿命といえます。

 水際作戦の最前線で、私たちは対応をしてまいりましたが、その活動を中心となって支えてくださったのがDMAT(神奈川の医師や看護師が中心の災害派遣医療チーム)で、神奈川県とDMATは連携しながら現場を仕切りました。

 私は、当初、最初に仕切りはじめた人間が、最後までやらなければならなくなるだろうと覚悟しましたが、現場の関係者全員にその意識は共有されていたのは、心強いことでもありました。

 船に検疫官が乗り込むと、乗員・乗客計約3700人の健康状態を船内で調べるための検疫が行われました。

 当然、3700人を同時に検査できませんので、徐々に結果が判明するのですが、最初の患者は神奈川県で受け入れましたが、やがて、次から次へと感染者が確認されたため、すぐには調整がつかず県内の医療機関での受け入れも限界に達しました。そこで東京都にも協力をお願いしました。