原子力発電所の発電コストが高く、一度、福島第一原子力発電所のような事故を起こしてしまえば、その損害賠償によるコストを加えるとほかの発電方法とは比較にならないことを前回書いた。また、将来はグリーンエネルギーへ移行するのは間違いないが、まだコストが高い。

 そのために「つなぎ」となる発電としてLNG(液化天然ガス)による火力発電が有力であることを、主に天然ガスの供給、埋蔵量の見地から示した。今回は、天然ガスの価格動向と、米国で始まっているシェールガス革命のインパクトについて触れたい。

世界の天然ガス価格動向

 前回見たように、当面の間はLNGの供給量不足を懸念する必要はないと見込まれるが、一方で気にかかるのがコストの問題である。そこで以下において、天然ガスの価格動向を見ることにする。

 右の【図3】で示したのは、LNG(日本と欧州平均)、気体の天然ガス(英国と米国)、原油(OECD諸国平均)の価格動向である。

 ここで、LNG、天然ガスおよび原油を同一の単位で比較するために、百万Btu(英熱量単位)当たりの米ドル価格となっている点に留意されたい。

 これらの動向を見ると、2008年をピークとして2009年にいずれも大幅に価格が下落していることが見て取れる。

 中でも米国の価格水準の下落が注目される。

 この下落の背景には、リーマン・ショックによる世界的な景気後退を受けた需要の減少もあるが、それに加えて「シェールガス革命」と呼ばれる要因も作用している。

「シェールガス革命」

 このシェールガス革命とは、主に米国において従来は技術面およびコスト面で採掘が困難であった部分に埋蔵する天然ガスが、技術進歩とそれに伴うコストの低下で採掘が採算に合うようになり、その結果もたらされた米国産天然ガスの増加によって世界の天然ガス供給に生じている影響のことである。

 シェールガス(shale gas)は、頁岩(シェール)に含まれている天然ガスのことであり、「非在来型天然ガス」の一種である。