東日本大震災で壊滅的な被害をこうむった地域では、残念ながら窃盗の類が頻発しているそうである。金庫をバールでこじ開けて中の現金を盗む、自動車からはガソリンを抜き取るという行為は日常茶飯事らしい。

夜の見回りが強化されて夜間の窃盗は減ったが・・・

 そのことを災害派遣された現役自衛官が自らの目で見た事実として、この記事「災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声」で明らかにしていた。

 その中で、福島第一原子力発電所に瓦礫撤去のために投入される74式戦車は、ブルドーザーの機能は言われているほど期待できないので、むしろ強力なサーチライトを使って夜間の犯罪防止に役立てるべきだとの提案もあった。

 電灯が全くなくなった被災地の夜は、恐らく江戸時代のそれに近いのだろう。暗くて何も見えないから、「盗んでも分からないさ」とばかりに、普通なら犯罪者にならないであろう人たちまで、窃盗に駆り立ててしまうのかもしれない。

 さすがに被災から1カ月以上が経過して、夜間の見回りが強化され、闇にまぎれての犯罪は少なくなってきたと聞く。しかし、今度は真昼間に堂々と盗みを働く輩が増えてきたのだそうだ。

 以下は、現場自衛官の記事を読んだ読者からの投稿である。

遺体から財布を抜き取る人々

 「(前略)避難所そばの川や池に、お金だけ抜かれた泥だらけの財布があちこちに捨ててある。しかも隠れて物資のミネラルウォータで汚れた小銭を洗ってる人がいたり。自分の財布なら捨てるでしょうか? 自分のお金なら物陰で小銭を洗うでしょうか?」

 「最近の窃盗犯は昼間、自宅や瓦礫を片付けるふりをして物色。夜は電気がついてきたし警戒が厳しいからです。先日、見かけない数人が居たから声をかけたが、返事は曖昧。少なくともうちの地区の住人ではない」

 「何日も固定電話も携帯もダメだし110番もできませんし、悪い人達は、やりたい放題でした。昼間から遺体のポケット漁ってたり・・・。そんな奴らと目を合わせたら何されるか分からないし。見て見ぬふりですよ。地震より津波より怖いのは人間ですね(後略)」

 震災当初、英フィナンシャル・タイムズ紙が「日本の奇跡は終わっていない」や「津波とセネカ、そしてサムライの倫理」の記事で日本人をたたえてくれたのが恥ずかしくなるような話である。