米グーグル傘下の動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」が、ネットテレビの中心的存在になることを目指して、コンテンツの獲得やサイトの刷新などを計画中だと米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
同紙は情報に詳しい関係者の話として、ユーチューブがサービス内の20ほどのサイトで、プロが制作した長時間の番組コンテンツを週替わりで配信する計画だと報じている。ユーチューブはその制作費に最大1億ドルを投じるという。
競争激化の米ネット映像配信サービス
ユーチューブの目的は、競争が激化するインターネット映像配信サービスの市場で、ライバル企業からユーザーを奪うこと。米国にはネットフリックス(Netflix)やフールー(Hulu)といった新興企業があり、これらのユーザー数は急速に伸びている。
ネットフリックスは先頃、映画・テレビ番組制作大手の米ライオンズゲートから人気テレビドラマ「マッドメン」のネット配信権を獲得して話題となった。また米アマゾン・ドット・コムも有料サービス会員に映画を追加料金なしで配信するなど、この分野で攻勢をかけている。
ネットサービスの台頭に危機感を覚える既存のテレビ事業者も、次々と新戦略を打ち出した。例えばケーブルテレビ大手は米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」向けに番組を配信しており、利便性を高めて顧客離れを食い止めようとしてる。
衛星放送大手の米ディッシュ・ネットワークは6日、経営破綻したビデオレンタル大手ブロックバスターの資産を3億2000万ドルで買収することが決まったと発表した。ブロックバスターは映画のネット配信事業も手がけており、ディッシュ・ネットワークはこの買収で自社サービスを強化する狙いだ。
ユーザー滞在時間をいかに伸ばすか?
調査会社の米ニールセンと米コムスコアの調査によると、今年2月のユーチューブの訪問者数は1億1100万人。これに対しネットフリックスは2400万人、フールーは2000万人と、ユーチューブのユーザー数は圧倒的に多い。