TPP参加の足かせは農業、
待ち受ける「大打撃」の本当の中身とは

2011.04.15(Fri) 白田 茜
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 日本人の大半が口にする外国産米。価格は国産米の4分の1でありながら、味はさほど国産米と変わらない。コメだけでなく、食卓にはずらりと外国産食品が並ぶ──。

 そんな光景が現実味を帯びてきた。「TPP」(環太平洋戦略的経済連携協定)に加盟するかどうか、日本は大きな岐路に立っている。食卓への影響も大きい。

 太平洋周辺諸国で自由貿易圏をつくる構想、TPP。2011年11月にハワイで行われるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で妥結することを目指し、現在9カ国で交渉が行われている。

 TPPは、2006年にニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国で発足した。その後、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加し、9カ国で交渉が行われている。日本も、2010年10月にTPPへの参加を検討し始めた。

 最初の4カ国の協定では、ほぼ100%、関税撤廃が行われている。これからの交渉でも例外なき関税撤廃が行われる可能性が高い。

TPPは多国間協定、米国も相手国に

 国や地域間の貿易を巡っては、これまで「FTA」(自由貿易協定)が結ばれてきた。これは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易などの障壁を削減・撤廃することを目的とする協定のことだ。

 また、近年、貿易自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作りなどを含む「EPA」(経済連携協定)の締結も増えている。

 2011年1月時点で、日本がFTA/EPAを締結したのは11の国と地域にとどまる。世界の主要貿易国間でFTA/EPAの締結が進んでいる一方で、日本の交渉は進まないままだ。

 その背景には、貿易自由化で大きな影響を受ける農業が足かせとなってきたことがある。

 これまで締結された日本のFTA/EPAでは、相手国のほとんどが発展途上国だ。これらの国々は、日本への農産物輸出について関心が高い。だが日本は、コメなどの重要品目については除外や再協議を行う措置で国内農業を守ってきた。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


農業の進む道

就業者の高齢化と減少、国際競争力の欠如など、様々な問題を抱える日本の農業。農業改革が遅々として進まないのはなぜか。農業を覆う問題の構造を明らかにし、あらゆる方面から日本の農業を活性化する方策を探る。