東日本大震災被災者支援レポート(4)

一面に広がる津波の残骸。陸前高田市で。〔AFPBB News

 今回の震災は日本を重要な市場とする世界のIT企業に大きな影響を与えていると英フィナンシャル・タイムズが報じている。

 IT企業各社は今後数週間かけて震災による影響を調査し、情報公開する予定だ。しかしそれに先だって米アドビシステムズが3月22日に発表した決算は、その影響の度合いを示す先行指標となったと伝えている。

 同日アドビが発表した12~2月の決算は予想を上回ったものの、併せて明らかにした3~5月の業績予想が市場予測を下回った。このことから翌日同社株は大幅安となった。

 アドビは「現在のビジネス環境の不透明さを考慮すると、慎重にならざるを得ない」とし、3~5月期の日本市場からの売り上げ予想を5000万ドル引き下げ、当初見通しの3分の1にした。

日本は売り上げの10%以上を占める市場

 アドビにとって日本は世界で2番目に大きい市場、同社の売上高の10~15%を占める。とりわけ3月は年度末の予算消化時期に当たり、1年で最も売り上げが多い月だ。

 今回の震災は世界のテクノロジー企業にサプライチェーン問題をもたらしたが、商機を失った影響も大きいという。

 特にアドビは、文書ソフトの「アクロバット(Acrobat)」シリーズや、プロ向けのコンテンツ作成ソフトを販売しており、法人顧客が多い。世界のソフトウエアメーカーは平均して売り上げの5%を日本の企業、官公庁から得ているが、アドビの場合その比率は約10%となる。

 またこうした企業はアドビのほか、設計、製図ソフトを手がける米オートデスクなどもあり、その数は少なくないとフィナンシャル・タイムズは伝えている。