SMAPの上海公演が延期に

上海の金融街〔AFPBB News

 また上海で「機密情報流出事件」が起きた。今度のターゲットは韓国総領事館、中韓版の「ハニートラップ」疑惑なのだそうだ(関連記事はこちら)。

 韓国人の夫を持つ中国人女性が総領事を含む複数館員と不適切な関係を持ち、韓国の機密を盗み出したという。

 韓国政府は「国家機密ではない」と否定するが、情報流出自体は事実らしい。韓国紙はこの女性が中国のスパイである可能性を報じている。

微妙な中韓関係

 ところで、この女性が持っていたのは韓国要人200人分の携帯電話番号、総領事館の緊急連絡網などだという。

 これだけではプロのスパイ活動というより、上海市上層部とのコネを吹聴する薄倖の中国人ビザブローカーが「体を張って」営業しただけのようにも思える。何せ、中国では誰でもスパイになれるのだから。

 いずれにせよ詳細は闇の中だが、事件以上に興味深かったのは韓国側メディアの反応だ。中央日報の社説は「衝撃的スキャンダル」と断じ、朝鮮日報も「中国人女性に弄ばれた総領事館」と題し韓国政府の対応を厳しく批判している。

 問題の性格上、韓国政府に厳しいのは当然だろう。しかし、韓国紙の報道ぶりをじっくり読んでみると、韓国外交官に対する「中国式ハニートラップ」への反発を超えた、中国に対する何とも微妙な韓国の民族感情が見え隠れする。これは一体何なのだろうか。

白頭山問題

 これまでも韓国人・朝鮮人の中国に対する微妙な民族感情は日本人の思わぬところで表面化してきた。

 例えば、白頭山を巡る論争がそれだ。白頭山(ペクトゥサン)は朝鮮名、中朝国境地帯にある火山で、朝鮮半島では朝鮮国家発祥の地と信じられている。確か金日成はロシア極東生まれのはずだが、彼の生地もこの白頭山なのだそうだ。

 一方、中国ではこの山を長白山と呼ぶ。古くは女真族・満州族の金・清王朝がこの山を神聖視し、毎年典礼を行っていたらしい。中華諸民族の1つである満州族の大切な山だから、長白山も当然中国の一部という理屈なのだろうか。