ファーウェイ採用すればドイツ軍との通信を断つ、米欧州軍司令官

中国深セン市にある華為技術(ファーウェイ)の本社(2019年3月6日撮影)。(c)WANG ZHAO / AFP〔AFPBB News

(数多 久遠:小説家、軍事評論家)

 アメリカ政府が華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品排除を決定し、日本も政府調達からの除外を決定しました。アメリカは、NATO諸国などにも同様の措置を求めています。

 その背景は、米中間の「5Gの覇権争い」や「貿易戦争」であるなどと言われています。

 しかし、大前提である安全保障上の脅威がどのようなものであり、なぜ脅威が生まれるのかという点について、正しく理解されているとは思えません。筆者は自衛官時代にマイクロ通信回線の敷設や通信機器の設置などに携わったことがあります。以下ではそうした経験を踏まえて、ファーウェイ製品に潜む安全保障上のリスクについて論じていきたいと思います。

2015年に抱いた疑念とは

 私はファーウェイが中国政府ベッタリなことは相当以前から認識していましたが、この問題に本格的に注目し始めたのは、実は日本国内のある出来事に関して疑問を抱いたからでした。

 今日、日本で島嶼の防衛が注目されていますが、その最前線である離島では、自衛隊員や海上保安庁などの職員が働き、暮らしています。特に太平洋戦争の激戦地ともなった硫黄島は、今でも安全保障上の重要ポイントとなっています。

 硫黄島は、絶海の孤島です。そのため、携帯電話を使えるようにするには非常に大きなコストがかかります。利用者が支払う携帯利用料だけでは、絶対に赤字です。補助金が出ているそうですが、そんなものでまかなえるはずがありません。

小笠原諸島の南端近くに位置する硫黄島(出所:米海軍)