日中企業3000億円規模の商談成立、安倍首相訪中で

中国・北京の人民大会堂前で行われた歓迎式典で、儀仗(ぎじょう)兵を閲兵する安倍晋三首相(2018年10月26日撮影、資料写真)。(c)Greg BAKER / AFP〔AFPBB News

「資本家は自分の首を絞めるロープまで売る」──共産主義の始祖レーニンはかつてこんなことを広言した。目先の利益だけを追求する資本家ビジネスマンは、敵となる相手にやがては自分たちを傷つけることになる武器までも売りつけるという意味だろう。

 このたび、日本が中国への40年にも及ぶ巨大な援助、ODA(政府開発援助)の終了を宣言した。この援助の意味を考えると、ついレーニンの言葉が想起されてしまう。日本が中国の強大化にせっせと励んできたのは、結局、日本の首を絞めるロープを与えたということに等しいのではないか。レーニンの語る資本家は潜在敵にロープを「売る」のだからまだよい。日本の場合は、中国にロープを「与えてきた」のだ。

「最大級の失敗」だった対中ODA

 安倍晋三首相の中国訪問を機に、日本政府は中国に対するODAの完全な終了を宣言した。日本国内では「止めるべきだ」という声が大勢を占めるなかで、これまで続けられてきたことのほうがむしろ驚きである。

 日本は40年近くにわたり、合計3兆6000億円の公費を中国に供与してきた。その援助は日本に一体なにをもたらしたのか。どんな利益があったのか。

 結論を先に述べよう。日本側がその援助の供与で目指した目標はまったく達成できなかった。日本側の当初の意図と、援助がもたらした結果の間には、あまりに大きな断層が存在する。だから日本政府の対中ODA政策は日本の戦後外交全体の中でも最大級の失敗だったといえる。失態といってもよいだろう。

 以下ではその理由を説明する。

「賠償」の意味も込められていた

 私は日本の対中ODA政策を20年前から点検してきた。その契機は1998年11月、産経新聞のワシントン支局勤務から初代中国総局長というポストに移り、北京に2年間、駐在したことだった。

 日本の対中ODAの目的とはなんだったのか。