英海軍は南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)周辺海域に揚陸艦「アルビオン」を派遣し、「航行の自由作戦」を実施した。その後、「アルビオン」はベトナムと英国の国交45周年を記念する行事の一環として、ホーチミンに寄港した。
かつて英国は「7つの海」を支配し、大国が繁栄する上で海洋覇権が重要なことをよく知っている。その頃、英国はジブラルタル、マルタ、シンガポールなどを領有し基地として使用した。そんなこともあり、南シナ海の島の地政学的な重要性をよく認識している。だから、中国との関係が悪化することを知りつつも、航行の自由作戦を実施したのだろう。
中国の反習近平派に対するメッセージ?
だが、なぜこのタイミングで実施したのだろうか。中国の南シナ海での覇権的な行動を阻止したいことは確かだろう。だが、BREXIT(EUからの離脱)でもめている最中でもあり、遠く離れた問題に深入りする必要はなかったはずだ。それにもかかわらずこの時期に軍艦を派遣したのは、中国が強硬な対外拡張路線を突っ走ることによって、貿易において米国と真っ向から衝突し、世界経済に甚大な悪影響を及ぼすことを恐れたから、と考えられる。