相次ぐ不祥事でつまずいた日本の自動車産業、「黄金時代」の復活狙う

日本企業の不正問題は神戸製鋼所だけの問題ではない。日産自動車(写真)をはじめ、企業体質の問題として真剣に取り組む必要がある。(2017年10月25日撮影)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA〔AFPBB News

 神戸製鋼所の品質不正は、昨年の発覚以来、大きな批判を受けてきた。ついに先週、企業として刑事告発されるに至った。

 確かに、客先と合意したスペックを守っていない製品を検査数値を改竄して出荷していたのだから、悪いことをしていたことは確かである。もちろん、応分の批判はされてしかるべきだ。

 しかし、いくらなんでも叩かれ過ぎではないか。神戸製鋼全体を否定するような叩き方や、ましてや日本のものづくりが揺らいでいるという批判までされた。

 同社の不正は日本の製造業が成長軌道を描いていた40年前から行われていた。日本の製造業に競争力があり過ぎ、貿易摩擦を起こしていた1980年代も不正が行われたことになる。

 日本のものづくりがゆらいでいるという批判は外れているのは明らかである。

 神戸製鋼はやってはいけないことをやってしまったことは確かである。しかし、今でも日本の製造業にとって不可欠な企業である。

 その製品には、神戸製鋼が圧倒的な競争力を持つものも少なくない。日本の製造業の競争力が落ちつつある今、むしろ神戸製鋼のような企業は貴重な存在に思える。あえて、批判覚悟のうえで、神戸製鋼を擁護してみたい。

神戸製鋼の不正はどこまで悪質か

 神戸製鋼は、検査成績書の改竄という、製造業ではやってはいけないことをやった。誤解のないように言うと、筆者もこうした不正は正されなければならないと思っている。コンプライアンスが重視される現在、このような不正をやれば、企業の存立にまで影響する。

 神戸製鋼ほどの大企業がそんなことになれば、神戸製鋼従業員だけでなく、取引先にまで影響は及び、社会への害の大きさは計り知れないほどである。それ以前に、製造業では製品に対する不正をやってはならないだろう。