ネット企業がリアル店舗で顧客とのタッチポイントを増やしている(写真はイメージ)

 来る5月14日から5月17日にかけて東京ミッドタウンで行われる世界最大級のマーケティング&コミュニケーションの祭典「Advertising Week Asia 2018」。前編に続き、本イベントのエグゼクティブ・プロデューサーを務めるイグナイト代表取締役の笠松良彦氏に、業界を取り巻く世界の動向とこれからの経営の在り方について話を聞いた。

世界のマーケティングを揺るがす2つのキーワード

イグナイト代表取締役、Executive Producer Advertising Week Asia エグゼクティブ・プロデューサーの笠松良彦氏

 スマートフォンを筆頭に、あらゆるモノがインターネットにつながるようになった今、“デジタル”が様々な領域に入ってくるようになった。こうしたデジタルシフトによって、何が起きるのか。笠松氏はキーワードとして「ビッグデータ」と「AI」の2つが挙げられると説く。

「マーケティングにおけるビッグデータを分かりやすく言えば、顧客情報の集合体です。しかし、顧客情報という言葉にも注意が必要です。単なる顧客の属性情報や購買履歴だけならば以前からどこの企業でも持っていたはずです。それがデジタルの時代になって、購買に至る前後の行動履歴までもが紐付けられるようになりました。これにより、顧客がどんなバイヤーズジャーニーをたどってきたか可視化できるようになったというのが、ビッグデータがもたらす最大の価値です。

 さらに、このビッグデータを効率的に活用するためには、AIによる自動学習が不可欠です。いくらデータが増えても、解析できなければ何の意味もありません。AIの手を借りて解析を高度化することで、顧客の頭の中が見えるようになるというのが、デジタルシフトによるマーケティングトレンドの変化なのです」(笠松氏)

 ビッグデータとAI。この両方を持ち合わせている代表例が、時価総額で世界3位に躍り出たアマゾンだ。アマゾンは広告産業を破壊するデジタルディスラプター(創造的破壊者)になり得ると笠松氏は指摘する。