「芸能界から一度距離を置きたい」という有安杏果さん。その真意は?(写真:JBpress編集部)

(矢原徹一:九州大学大学院理学研究院教授)

 ももいろクローバーZ(ももクロ)のメンバーとして8年間活躍した有安杏果さんの卒業コンサートを中継したAbemaTVの番組は、220万人の視聴者を集め、同局の音楽部門の歴代最多視聴数を記録したそうです。たった1人のアイドルの卒業コンサートにこれだけの注目が集まるのは、ちょっとした社会現象と言えるかもしれません。私の記事(「科学者として考えて杏果がももクロを卒業した理由」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52156)もかなりよく読まれ、JBpress読者の間でも関心が高いことが分かりました。そこで、彼女の決断の背景について、もうすこし掘り下げた記事を書いてみることにしました。

卒業コンサートでのすがすがしい笑顔の理由

 前回の記事では、人間の性格因子の1つ「開放性」に注目して、彼女が卒業を決断した理由を推論しました。しかし、人間の決断をたった1つの性格因子で説明するのはあまりにも単純すぎます。今回は、他の性格因子についても考えて、決断の背景をより総合的に考えてみます。

 有安さんは、努力の人です。最近では、ギターやドラムに取り組み、ソロコンサートのステージで腕前を披露しました。日本大学藝術学部では写真を学び、卒業制作では奨励賞を受賞しました。