中国で日々作られ使われる新語の中で今年ぽつぽつと見るようになった単語に「銀髪族」というのがある。

ケチな中高年が消費に目覚めた

中国の銀髪族は旅行にお金を使い始めた。日本は人気の国になっている

 銀髪族とはその名の示す通り、60歳以上の老人を指す言葉であり、老人絡みのトピックでは銀髪族のほかに「老年(人)消費」という単語が絡むニュースもよく見かける。

 本国中国はおろか日本のあらゆる経済誌ですらも消費の中心が「80后(パーリンホウ)」と呼ばれる1980年代生まれであるという情報がありふれた情報となっている。

 その中で、銀髪族が話題に上り始めたのは、彼らが消費し始めたことにほかならない。現在中国における60歳以上の老人の人口は日本の人口以上の1億6000万人で、この数字は全人口の12%に当たり、毎年800万人ほど銀髪族が増えている。

 今年上海万博を契機に「誰もが」ではないが、「多くの」都市部の住民が上海万博を見に行った。

 この時、上海および、南京や杭州観光をセットにした「華東地域ツアー」に多くの老人が参加し、また上海万博後についても平日の中国国内観光ツアーは時間に余裕のある老人ばかり。そうしたことから老人の団体を歓迎する旅行会社の広告は年々増えている。

中国でも問題になってきた所得格差、年金格差

 中国の老人は金を持っている。現在の若者が就職難に直面しているのとは対照的に、中高年の若き頃は仕事が分配され、家も非常に安く購入できた(「中国にうっ積する「世代間格差」というマグマ」)。

 当時、国営・公営企業のほか、準公務員的なポジションの「単位」と呼ばれる組織はゴマンとあり、そこで働いていた人々の一部が現在銀髪族になると、在職時のステータスによりその都市の一般的な月収から月収数カ月分の年金を毎月もらえるようになる。

 当然、中国の掲示板やブログなどでは、所得格差と同様に年金問題に不満の声が多数確認できる。

 また、数は少ないものの、過去に技術職として国の研究所などで働いていた老人が、研究機関などで技術顧問として再就職するケースもある。もちろん貴重な経験豊富な技術者には老人といえども金に糸目はつけない。