中国・義烏市の義烏国際商貿城(福田市場)。日用雑貨の大規模な卸売市場である(出所:Wikipedia

 中国で発生した大量の“在庫”を沿線国にばらまく――これもまた、中国が描く「一帯一路」戦略の狙いの1つだと言われている。

 在庫の運搬手段の1つが貨物列車である。2011年から、中国と欧州の間で貨物列車が走り始めている。蘇州発ワルシャワ行、広州発モスクワ行き、西寧発アントワープ行きなど、すでに10を超える路線が開通している。この“鉄のシルクロード”は、今年だけでも運行はすでに1000を超えている。

飛躍的に向上した中国製品の品質

 この中で筆者が特に注目しているのは、今年、開通した浙江省・義烏(イーウー)と英国ロンドンを結ぶ国際貨物列車である。

 何しろあの義烏の商品が英国市民の生活に中に入っていくのだから、実に感慨深いものがある。

 義烏といえば、世界最大の日用雑貨の卸売市場として知られている。正式名を「中国小商品城」という。

 この卸売市場は、少し前まで「巨大なニセモノ市場」という異名があった。たとえば文房具。見かけは日本の三菱鉛筆のボールペンだが、書き味がまったく違う。ひどいときはインクで手が真っ黒になることもあった。外見はトンボ鉛筆の「MONO」そっくりなのだが、まったく消えない消しゴムも売られていた。ホチキスの針はガチャリとやった瞬間にすぐ折れた。ニチバン似のセロハンテープの接着力は言うに及ばない。