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えっちなのはいけません!という社会規範、法律はいつどのように作られてきたのか(写真はイメージ)

(文:小松 聰子)

性表現規制の文化史
作者:白田 秀彰
出版社:亜紀書房
発売日:2017-07-20

 本書、表紙が素敵なのだ。

 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。

 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では本書の続きを読むのをためらった。

 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。そもそもたとえ乳首が隠されていたとしても裸の成人女性が描かれた表紙を人前で出すこと自体やりたくないという人も多いはずだ。(うん、本屋さんでカバーかけて貰えるのってとっても大事かも)。

 この「通勤電車ならいいや」と「でも小学生男子には刺激が・・・」の線引きをしている私の気持ちは一体どこから生じているのだろうか。

 えっちなのは、いけません! 我々(少なくとも私は)はそう刷り込まれている。だから、公共の場でえっちなイラストの表紙の本を出すのがためらわれるのだ。そして子供たちの前ではさらにその気持ちが強化されるのである。