米中関係の“ミニ蜜月”は終わった――米国のトランプ政権の最近の対中姿勢と、中国側の反応をみていると、北朝鮮問題に共同で対応しようという一時の協調関係は完全に終了し、本来の対立状態へと戻ったようである。新たな米中対立は、日本にも当然、大きな影響を及ぼしそうだ。
中国への失望が鮮明に
トランプ大統領は4月上旬の習近平国家主席との米中首脳会談で、北朝鮮の核兵器開発阻止のための協力を中国に要請した。北朝鮮経済の生殺与奪も可能な中国に、石油の輸出停止など北朝鮮に対するこれまでにない強硬で大規模な経済制裁措置をとることを頼んだのである。それと引き換えに、トランプ政権は経済面や軍事面での中国の荒っぽい行動への抗議は当面みあわせるという態度をとった。
トランプ政権はこの対中要請に、米中貿易不均衡問題での中国側の善処策とからめ、100日間という期限をつけた。その間、トランプ大統領は中国への批判を一切行わず、逆に「習近平氏は好ましい人物だ」などいうコメントを発し、米中協調の構えをみせた。
もともとトランプ氏は、大統領選キャンペーン中から中国に対して厳しい非難を浴びせていた。当初は、中国の巨大な対米貿易黒字や、米国企業を不当に扱う不公正貿易慣行、知的所有権の侵害など、経済分野での非難だった。だが、次第に南シナ海での無法な領有権の主張やその拡大についても批判するようになった。中国からの米国の官民に対するサイバー攻撃もトランプ氏は糾弾していた。