稲田防衛相が辞任表明 PKOの日報問題で

安倍晋三首相にとってもう1つのアキレス腱だった防衛大臣が辞任した。写真は東京都新宿区の防衛省で記者会見を行う稲田朋美防衛相(2017年7月28日撮影)。(c)AFP/Toshifumi KITAMURA〔AFPBB News

 加計学園が今治市(愛媛県)に獣医学部を開設するに当たっては、安倍晋三首相が長年の友人である加計幸太郎氏に便宜を図ったのではないかと疑惑が持ち上がった。

 疑惑解明のために野党が要求した閉会中審査は7月10日に開かれた。海外出張中の首相は出席できず、十分解明できなかったとして首相も出席した再度の閉会中審査が同24日と25日に開催された。

 問題の本質は、(1)獣医学部新設の必要性と規制の現実、(2)認可に至る手続きは公正に行われたかの2点である。

 与党委員は岩盤規制で必要性が阻害されているのではないかとの視点から首相や官房・内閣府、そして民間の参考人に問い糾した。

 他方、野党はもっぱら「総理のご意向」や「官邸の最高レベル」という文科省内に見つかった文書から読み取れる首相の圧力があったのではないかとみて質問した。

 この過程で、獣医学部新設に当っては関係する省と団体の圧力は相当なもので、首相のリーダーシップをもってしても容易に崩せない実態が浮き彫りになった。

偏向報道で日本をあやめるな

 24・25両日のNHK「ニュース・ウォッチ9」は、首相と加計氏の会食が異常に多かった、加計学園が申請したのを首相が知ったのは今年1月20日かなど、決定過程に疑惑があるとみる野党委員の質問や、「加計ありき」とする前川喜平参考人の発言などを中心に報じたが、問題の本質である必要性や半世紀も正されずに来た岩盤規制、そして正当な手続きで加計学園に決ったとする参考人の発言はほとんど報道しなかった。

 恐るべき偏向報道ではなかろうか。NHKの報道姿勢が偏向していると指摘されて久しい。しかし、一向に改まる気配は見られない。

 7月10日の閉会中審査を終えて、筆者はJBpressで、「加計学園問題の審議はもう不要、安全保障論議を! 行政は歪められたのではなく正された、前川喜平氏こそ問題の中心」として取り上げた。

 しかし、国民の多くはニュース番組としてのNHKを視聴して、政党主張の是非や政治の正邪を判断するに違いない。それ故にNHKには民放と異なる要求が放送法で課されている。