日本で憲法改正の是非がいよいよ国政上の現実的な主要課題となってきた

 日本の憲法第9条が日米同盟を侵食する――。

 こんな批判が米国で陰に陽に述べられるようになって久しい。最近はこの種の批判が、さらに鋭い非難となって、米国の公式の場や国政の舞台において表明されるようになってきた。

 日本での憲法論議も、こうした米国での日本憲法観を真剣に考慮すべき時期がきたようだ。

米国の意向を考慮せざるをえない理由

 日本で憲法改正の是非がいよいよ国政上の現実的な主要課題となってきた。契機となったのは、やはり安倍晋三首相による改憲の具体的な試みである。現行の日本国憲法を改正すべきか否かは長年議論されてきたが、いまほど国民にとって目前の大きな課題となったことはないと言ってよい。

 改憲論議の核心はなんといっても第9条をどうするかである。“日本の国家や国民の安全をどう守るかについての原則”、つまり“国家安全保障のあり方”が日本にとって最重要な議題であることは論を待たない。

 日本の国家安全保障を議論する際は、世界の動向、日本と外部との関係の把握が基本となる。とくに優先して視野に入れるべきなのは、米国の動きだろう。日本の憲法は日本が独自に決めるべきであるという大原則は言うまでもない。だが、日本の憲法のあり方に米国が関わってくる特別な理由が少なくとも2つある。