特集 航海時代

ノーベル賞学者の理論で日本の貿易は拡大する

東大・伊藤元重教授が説く「グローバル成長戦略」

2010.12.13(Mon) 鶴岡 弘之

世界の中の日本

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1990年代以降、盛んにビジネスの「グローバル化」が叫ばれるようになった。

 ビジネスのグローバル化とは、本来「企業が国境を越えてビジネスを展開する」ことを指す。だが、90年代のグローバル化は、その前段階として、いわゆる「グローバルスタンダード」に対応することに焦点が当たっていたようだ。

 金融自由化、不良債権処理、成果主義国際会計基準の導入など、「欧米のルールに合わせる」「欧米のやり方を取り入れる」という意味で使われていた側面が強い。

 しかしここに来て、「グローバル化」が本来の意味を取り戻しつつある。単にグローバルスタンダードを取り入れることではなく、海外で生産したり海外市場で製品を売ったりすることが喫緊の課題だと考えられるようになった。

 日本の人口は、2005年から減少し始めた。生産年齢人口も95年から減少に向かっている。少子高齢化人口減少によって、日本市場の縮小は避けられない。働き手も減っている。つまり、海外労働者を雇用したり、海外市場に出ていかないと企業は生き残れなくなるおそれがある。

 輸出特化型の一部の製造業はずっと前からグローバル化していたわけだが、これからはあらゆる企業が否応なくグローバル化していかなければならない状況に置かれているのだ。

 だが、何の戦略もなしにやみくもにグローバル化しても、失敗する公算が大きい。世界のどこに出ていって、何をどのように売るのかが重要だ。

 世界市場は、10年前とはまったく様相が異なっている。世界で何が起きているのかを知り、それを踏まえた上で打つ手を考えなければならない。

旧来の国内ビジネスは急速に収縮している

 日本IBMが11月30日に都内で開催した「IBM SMARTER PLANET GO GLOBAL FORUM」において、東京大学大学院 経済学研究科の伊藤元重教授が「グローバル成長戦略」をテーマに基調講演を行った。その内容を基に、企業が採るべき戦略のポイントをまとめると次のようになる。

伊藤元重氏/前田せいめい撮影「IBM GO GLOBAL FORUM」で講演する伊藤元重教授(撮影:前田せいめい)

 まず今、企業に求められるのは、欧米の先進国と歩調を合わせることではない。伊藤教授は「アジアに目を向けること」だと言う。

 この10年を見ると、先進国が落ち込む一方で、新興国、特にアジア各国の成長ぶりは目覚ましいものがある。10年前にアジアでは日本のGDPが1番大きく、中国は3分の1、韓国は8分の1程度だった。現在、日本と中国はほぼ並んだ。

 10年後には、中国は日本の3倍程度になるという予測がある。さらに25年後は中国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)が日本を超えているだろう。企業がグローバル化を進める際の前提として、「この変化のスピードを理解しておく必要がある」。

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