北極の異常な高気温、気候変動の「悪循環」が拍車

米航空宇宙局の衛星が撮影した北極域の海氷〔AFPBB News

 ロシアでは毎年5月9日に第2次世界大戦の対独戦勝利記念日が祝われる。

 その目玉と言えるのが各地で行われる軍事パレードで、最も大規模なのはもちろん首都モスクワで行われる赤の広場でのパレードだ。

 このパレードでは時折新兵器が披露されることもあり、2年前の対独戦勝70周年記念日には新型戦車「T-14」をはじめ、数々の新型装甲戦闘車両が一挙に登場して注目を集めた。

北極圏用防空システムが初お目見え

 一方、今年のパレードには北極圏用防空システムが初めて登場する見込みだ。

 これは陸軍などで運用されている「トール」や「パーンツィリ」などの防空システムを雪上車に搭載したもので、モスクワ北方の演習場で行われているパレード訓練の場で初めて目撃された。

 さらに、これらの防空システムを搭載する「DT-30」雪上車も、そもそもは北極圏で活動するロシア軍のために開発された専用装備である。また、ロシア軍で標準的に運用されている「Mi-8」ヘリコプターについても、北極の極低温下でも運用可能な改良型が開発されており、すでに引き渡しが始まっている。

 4月には北極圏でも活動可能な耐氷性能を有する多目的艦「イワン・パパーニン」型の1番艦が起工された。同艦は2019年にもロシア海軍に引き渡される予定であり、2番艦も近く起工されると見られている。

 このように北極圏用装備が続々と開発されている背景には、北極圏におけるロシアの軍事プレゼンスの高まりがある。

 例えば今年4月に入ってから、ロシア国防省は北極圏のフランツ・ヨーゼフ島に建設した軍事基地の映像を公開した。