財政支出は長期的な成長にマイナス

 そこで出てきたのが、財政余地という考え方である。これは政府債務(GDP比)が発散しないという条件で、財政赤字を拡大できるかどうかの目安で、最近IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)が提唱している。内閣官房参与の藤井聡氏などの「バラマキ派」が最近もてはやしているが、彼は安倍政権のインサイダーなので、これから出てくる可能性がある。

 2016年11月のOECDエコノミック・アウトルックによれば、緊縮財政を続けてきた日本が財政を拡大する余地は大きく、次の図のように、GDPの2.2%ぐらい財政支出を拡大する余地がある。

図2 中期の財政余地(GDP比 %) 出所:OECD

 しかしこれはケインズ的な財政政策が可能だという「中期のギャップ」であり、財政支出を増やせばGDPが増えるのは自明だ。問題は、それが長期的な成長に貢献するかどうかである。

 OECDは日本について「公的投資が成長に及ぼす影響はきわめて悪い。公的資本ストックがすでに大きく、公的投資の限界効率が低いかマイナスだからである」と書いている。財政の維持可能性も、長期的にはあやしい。

 リフレ派の時代は終わり、バラマキ派の待望している「ケインズの時代」も再来しないだろうが、3期目の目玉に困った安倍首相が財政出動に打って出る可能性がある。

 日本が財政デフレに陥っているというシムズの診断が正しいとすると、政府が信頼されている限り金利上昇は起こらないが、「成長で財政再建」もできない。財政政策にも、今までとは違うイノベーションが必要である。

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