「入国規制は違憲」 全米15州と首都の司法長官が非難声明

米ニューヨークのケネディ国際空港で、イスラム圏7か国の市民の入国を制限する大統領令に抗議する人々 (2017年1月28日撮影)〔AFPBB News

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)が就任してから、連日様々な話題が取り上げられているが、重要な話題が抜け落ちている。

 米国が「覇権を放棄する」というテーマである。影に隠れた話題であるだけに、テレビも新聞もほとんど報じない。

 覇権――。

 大国(米国)が地球上の地域や特定国に対し、外交的、軍事的、経済的な優位性を誇って支配的な影響力を及ぼすことだ。第2次世界大戦後、米国は長い間覇権国家として世界で大きな力を誇ってきた。

覇権放棄を宣言した就任演説

 覇権の是非については賛否両論あるが、米国と、日本を含めた西側外国は、これまで主従関係のような間柄だった。現実の世界は米国の覇権によって動かされてきたと言っても過言ではない。 

 だがトランプは選挙期間中から覇権を放棄すると述べてきた。他国や外交に気を配るより、まず米国を優先すべきとの主張だ。当初は、選挙中だけの言い分で、強い米国(覇権)を継続していくかにも思われた。

 しかし就任演説で、トランプは覇権国家を放棄することを明確に示した。「覇権」という言葉こそ使わなかったが、文面を読めば明らかである。

 「過去何十年間も、米国は自国産業を犠牲にして外国産業を興隆させてきました。他国の軍隊を支援してもきました。それは悲しくも米軍を消耗させることになったのです。(中略)今日から、我々は祖国だけを統治するという新しいビジョンに立ちます。それが『アメリカ・ファースト』なのです」

 『アメリカ・ファースト』は単に米国製品を買い、米国人を雇うということだけではない。覇権の考え方を放棄して自国に力を注ぐという真の意味が隠されている。