映画『Death By China』のオープニングシーン(映像の一部を抜粋、出所:Youtube「Death By China - Trailer」)

「メイド・イン・チャイナ」と刻まれたナイフが米国本土に刺さり、そこから赤い血が流れ出る――。1時間18分のドキュメンタリー映画はそんなオープニングから始まった。米国の経済学者、ピーター・ナバロ氏(カリフォルニア大学教授)が監督した『Death By China』である。

 2012年に公開されたこの映画は、米中貿易によって米国経済がどれほど甚大な被害を受けているかを訴えるものだった。

あらゆる側面から中国を批判

 その映像は終始、煽情的だ。

 カメラが追うのは、ブラックフライデー(11月の第4金曜日。この時期に米国ではクリスマス商戦が始まる)に買い物を楽しむ市民たちだ。家電量販店「ベストバイ」から出てきた買い物客のカートに乗せられている商品のほとんどはメイド・イン・チャイナである。

 また、家具を製造する零細工場の経営者は「小さな企業が米国を作っている。私たちを殺さないで」と訴え、配給の列に加わる少年は涙をこぼしながら「お腹がすいている」と訴える。こうした市井の人々のみならず、米国の大手企業、中小企業の経営者や経済学者、専門家など多くの人物が登場し、ありとあらゆる側面から中国を批判する。