(文:野嶋 剛)
立命館大学教授の中国人学者、周瑋生さん(56)が上海に学会のため出張した10月下旬以降、2カ月にわたって日本の自宅に戻らず連絡が取れない状況になっている。中国当局に何らかの理由で拘束されている可能性がある。
周さんは日本でも指折りの自他共に認める「親中派」だった。その周さんがトラブルに巻き込まれたとすれば、それは一体なぜなのだろうか。
周さんが何かの事件や捜査に巻き込まれて拘束されたことを立証する情報は今のところなく、断定はできないが、大学側や家族が2カ月以上連絡を取れないということは、過去の類似のケースからすれば、拘束の可能性は否定できない。
すでに大学で何度か教授会なども欠席しているとみられ、学生たちに成績をつける試験や年度末も近づいており、大学側も公表に踏み切ったのだろう。このことは、病気や家庭の事情などではなく、何らかの異常事態であるという関係者の共通認識を示している。立命館大学関係者によると、すでに学内でも周さんの「失踪」情報は学部長レベルで今週共有されているという。
駐日大使館からの信頼も厚い
周さんと筆者は10年以上の付き合いがあり、頻繁に連絡を取り合うほどではなかったが、周さんの専門である中国の環境問題について時々コメントを電話やメールで求めていた。半年ほど前、メールで1度やりとりし、「近いうちにお会いしましょう」という話もしていた。失踪したとの情報に接したとき、最初に思ったのは無事であることを祈りつつ、「あの周さんですら、『地雷』を踏んでしまったのかもしれない」という感慨だった。
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