米国で大手メディアが非難を浴びている。今回の大統領選における報道が誤認に満ちており、きわめて偏向していことが露呈したからだ。
大手メディアは共和党候補のドナルド・トランプ氏を叩きに叩き続けた。トランプ候補の支持者たちに対しても、まるで米国社会の中心から排除された人たちであるかのようにレッテルを貼り、時には「無知」「非現実的」と表現して見下してきた。一方、対抗馬の民主党ヒラリー・クリントン候補の掲げる政策は賞賛し、勝利を予想し続けた。
だが、トランプ氏を支持する米国民は思っていたよりもずっと多かった。実際の選挙では、トランプ支持の巨大な山が動いた。米国の大手メディアはその山がいかに巨大で、どれほど大きなエネルギーを蓄えているかを測れなかった。
「米国の基準では安倍氏は右翼ではありません」
「ニューヨーク・タイムズ」はそんな大手メディアの筆頭と言えるだろう。
ニューヨーク・タイムズは日本に関して報道する際、安倍晋三首相に「右翼」「ナショナリスト」といったレッテルを貼ってきた。一体どんな判断に基づいて、こんなレッテルが出てくるのだろうか。
米国メディアの日本についての報道や評論を長年分析してきた米国人学者、アール・キンモス氏に、その背景を尋ねてみた。
キンモンス氏は米国のウィスコンシン大学で日本の歴史を専攻し、博士号を取得した。イギリスのシェフィールド大学で教鞭をとった後、20年近く前に来日し、現在は東京の大正大学の教授を務めるベテランの日本研究者である。