2016年11月17日、韓国では今年も大学入学統一試験である「大学修学能力試験」が実施された。今年は、大統領を巡る各種スキャンダルが噴出している時期で、いつもにも増して「受験日」に対する関心が高かったようだ。
韓国ではこの試験を「修能(スヌン)」と呼び、もう国民的な行事になっている。
60万人が受験
全国1183か所の会場で午前8時40分から始まった試験に応募したのは60万人あまり。今年もさまざまな「特別措置」があった。
これだけ厳重に注意しても毎年出る「遅刻しそうな受験生」のためにパトカーや白バイが待機する。試験会場前には、高校の後輩などが「応援プラカード」を持って先輩を激励する姿が毎年見られる。
今年は、大統領周辺のスキャンダルを風刺したプラカードがあちこちで見られたという。韓国メディアによると、ある高校の前には、こんなプラカードがあった。
「試験問題」と書いてある後に、「科目」として、今話題の大統領の長年の知人である「崔順実(チェ・スンシル=1956年生)ゲート関連科目」とある。
1番目の問題は、「共謀者をすべて挙げろ」をあり、「崔順実」「全経連」などが並んでいる。
受験生をリラックスさせるためのパロディが多いが、今年はやはりこの話題が受験生にも関心事だったようだ。
銀行も株取り引きも午前10時からに
受験生が円滑に会場に到着できるように、通勤ラッシュの時間を遅らせることも毎年恒例だ。公務員の出勤時間が午前10時に変更になった。
それだけではない。銀行の窓口もいつもより1時間遅い午前10時から。証券取引の時間も変更になった。取引所での株の取り引きは、通常なら午前9時から午後3時30分だが、17日は午前10時から午後4時30分までになった。
航空機の離着陸禁止
もっとすごいのは、午後1時5分から1時40分まで韓国全土で航空機の離着陸が禁止になった。ちょうどこの時間帯に「ヒアリング」の試験があるためだ。
受験生のためなら、なんでもありという状態だ。
毎年こうした「特例」措置があるのだが、では、どうしてこんなことまでして試験を平日に実施するのか。いつもこんな疑問が出るが、明確な答は返ってこない。