ベトナム・ホーチミン市(旧サイゴン市)にある元南ベトナム大統領官邸(出所:Wikimedia Commons

 日本共産党と他の野党との連携が一段とクローズアップされてきた。2016年7月の参議院選挙では野党連合は成功を果たせなかったが、共産党はここに来て他の政治勢力との共闘をさらに強めようとしている。

 だが、今なお共産党は「科学的社会主義」の名の下にマルクス・レーニン主義(共産主義)への信奉を主体とする革命政党の本質を変えてはいない。

 日本共産党は政権獲得への方法として、「民主主義革命」とともに、他の非共産主義政党との「民主連合政府」「国民連合政府」「統一戦線」などの結成を打ち出している。真の目標の達成のためには、政治理念を異にする政治勢力とも手を結ぶという戦略である。

ベトナム戦争を想起させる日本共産党の戦略

 この方法は世界の共産主義の系譜にも前例が見られる。近年の事例として真っ先に思い出されるのはベトナム共産党であろう。ベトナム共産党は、共産主義革命の達成、そして政権の全面獲得のために非共産の政治勢力をフルに利用するという戦略を実行して、歴史的な大成果をあげた。

 ベトナム共産党は、フランスや米国、そして米国に支援されたベトナム共和国(旧南ベトナム)を相手に戦い勝利した。この30年にわたったベトナム戦争で、ベトナム共産党は「共産主義」や「革命」を隠し続け、他の勢力との連携を強めた。