このところ、日本共産党に関する記事が目立つ。月刊誌『正論』は5月号から3か月連続で共産党特集を組んだ。『WiLL』その他でも共産党関連の論文が散見された。
新聞では共産党幹部が天皇陛下をお迎えして行われる通常国会の開会式や千鳥ヶ淵戦没者墓苑での拝礼式に出席したことなどがトピックス的に報道された。
一方、鈴木貴子衆議院議員(無所属)の質問主意書に対し、政府が「日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」とする答弁書が3月22日の閣議で決定された。
直近数次の国政選挙で日本共産党の得票が伸び、議席を増やしてきた上に、安保法制を「戦争法」と喧伝して野党に廃案を呼びかけ、「国民連合政府」をつくろうと呼びかけるまでになっているから注目を浴びるのは当然であろう。
共産主義の社会はユートピアか
現存する政党の中で最も古く、戦前からの唯一政党である日本共産党は「ロシア社会主義革命の指導者レーニンによってつくられたコミンテルン(共産主義インターナショナル)日本支部として誕生」し、「非公然、非合法の政党として」(筆坂秀世著『日本共産党』)スタートした。
「ご維新のほんの20年前に登場したこの新しい政治思想(Communism)は搾取を排すとか、生産手段も収穫も等しく分かち合うとか、実によさそうな話が並ぶ」などから、当時多くの西洋語を翻訳していた明治人は「共産主義」と訳した(高山正之著『スーチー女史は善人か』)。