米国の市場調査会社IDCがこのほどまとめたスマートフォン市場に関する最新のリポートによると、今年世界で出荷されるスマートフォンの台数は約14億8000万台となり、前年実績からの伸び率がわずか3.1%にとどまる見通しだ。
成熟国市場や中国の減速が要因
スマートフォンの世界出荷台数は、2014年に前年比で27.8%増、2015年に同10.5%増と推移してきたが、今年はこれらから大きく低下するという。IDCによると、この伸び率が1桁台になるのは同社が統計を取り始めて以来初めてだという。
またIDCは今年3月に公表したリポートで、今年の伸び率が5.7%になると予測していたが、今回のリポートでこれを下方修正した。その理由として同社は、市場の成長が成熟国や中国で引き続き減速していることを挙げている。
これを国・地域別で見ると、米国、西欧、中国で1桁台の伸びにとどまる見通し。一方で日本とカナダは、それぞれ6.4%、6.9%減少するとの予測だ。
まだスマートフォンの普及率が低い一部の新興国市場を除けば、もはやその出荷台数が大幅に伸びることはないと同社は指摘している。こうした中、メーカーにとって重要なのは、いかに利用者の買い替え周期を短くしていくかだという。
今後は米アップルが始めたような早期下取りプログラムや、安価なアンロック端末の多様な製品ラインアップが、成熟国市場で買い替え周期を短くするための重要なカギになると指摘している。
ファブレットは今後も2桁成長
世界のスマートフォン市場が1桁成長時代に突入する中、まだしばらくは好調が続くカテゴリーがあるという。
それは画面サイズが5.5インチ以上の大型端末(いわゆるファブレット)。この分野には米アップルの「iPhone 6 Plus」「同6s Plus」などがあるが、現在多くのメーカーがその旗艦モデルをこうした大型端末へと移行しつつある。
これに伴い、ファブレットは2019年まで2桁成長が続き、その平均販売価格は依然高い水準を維持するとIDCは予測している。